人は旅に出るのが好きだ。
知らない土地や故郷。住んでいるいつもの日常と違う景色や匂い雰囲気は、いくつになってもわくわくさせてくれるものがある。
だから荷物を持って旅に出掛けたりするのかもしれない。
もちろん旅にもいろんな旅がある。
マーブルチョコを買ってきて、ついてくるシール ランダムで世界の各国々のシールが入っているのだが。アメリカとかポーランドとかそれを頼りにどんな国なのか民族音楽とか、景色とか調べてみたり。
などいろいろな旅があると思う。
今月2月と3月はそんな旅について書いていこうと思う。
2月は、私が実際に旅について書こうと思い出かけた旅。
3月は、思い出を思い出す旅である。
今私は、日頃生活の中で使用している西武池袋線の池袋駅で秩父行き特急電車を待っている。いつの日か行こうと鞄に入れて忘れられていたぼろぼろになった秩父観光パンフレットを持って待合室の隅っこで待っている。
電車の出発まで30分少しどうやら早く着きすぎたようだ。
それで待合室に座り心配性な性分の為荷物のなくしものはないか鞄の中身を確認していた。
声がした目を鞄から離すと、横にいたおばちゃんが「少し駅員さんに聞いてきたいことがあるから少しの間荷物をみていてもらえませんか!?」と話しかけてきた。私は頷きしばらくの間荷物をみていた。
自分の荷物ですら心配なのに他の人のものを預かるのは少しばかり気が重たいなとかそんなことを思いながらおばちゃんの帰りを待っていた。
しばらく経っておばちゃんが帰ってきて丁寧にありがとうと挨拶をしてくれた。
なんだったのかと思うくらいにさっきまでの重たい気持ちがどこかに飛んでいった。
それから待合室は、おばちゃんと私だけだったが気がついたらいろんな人たちが入ってきた。
待合室からは目の前に止まっている特急電車が見えていた。
待合室にいるいろんな人達、おばちゃんの横顔を見ていると、幼い頃に一人でおじいちゃん家に行くため出た一人旅でさっきのおばちゃんのような方が、目的地まで(持っていたポーチに母がマジックで書いていたところに)行けるよう電車からバスの運転手さんまで案内してくれたのを思い出した。
私も大きくなって昔のそのおばあちゃんに会えて何かお返し出来たような気がした。
イヤホンからはMr.Childrenの東京が流れていて、なんだか待合室が地元の昔の駅に来たような気がした。
あの頃は幼かったけどきっと僕も大人になって、大切だった場所も人も変わって行ってしまって、でもきっと大切な場所や人と一緒にいた瞬間は胸の中にしまってあって今日のように必要な時に思い出してそばにいてくれるんだなと感じた。
電車に乗る前さっきのおばちゃんがレモンキャンディーをくれた そのキャンディを口に運んで、少しくすぐったいような心が穏やかな気持ちになって僕は電車に乗りこんだ。
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